
税理士は会社経営を支える重要なパートナーです。一方で、会社の成長や経営環境の変化に伴い、「今の税理士のままでよいのか」と見直しを考える経営者も少なくありません。自社に合わない税理士との契約を続けると、節税の機会を逃したり、経営判断に影響したりする可能性があります。
本記事では、税理士を変えるべきタイミングや判断基準、変更の流れ、失敗しない税理士の選び方について解説します。税理士の変更を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
「税理士を変えたい」と感じるのは珍しいことではない
税理士は一度契約すると長く付き合うことが多いものの、途中で変更する企業も少なくありません。特に中小企業では、会社の成長に合わせて税理士を見直すケースがあります。
たとえば、売上の増加や従業員の増加、新規事業の開始、個人事業からの法人成りなど、会社の状況が変わると税理士に求めるサポートも変化します。創業期は申告書の作成や基本的な税務サポートで十分でも、事業が成長すると節税戦略や資金調達、経営分析など、より高度なサポートが必要になることがあります。
税理士は会社の数字を共有する経営パートナーとも言える存在です。会社の成長フェーズや経営課題に合わせて税理士を見直すことは、より良い経営環境を整えるための選択肢の一つです。
多くの経営者が「税理士を変えたい」と感じる6つの理由

税理士を変えたいと感じる理由は企業によってさまざまですが、実際に税理士事務所へ相談として多く寄せられるのは、「節税の提案がない」「レスポンスが遅い」「顧問料が高い」といった不満です。ここでは、実際によくある不満の内容について詳しく見ていきましょう。
節税の提案がない
税理士の役割は、税務申告書を作成するだけではありません。多くの経営者は、税金を適切に抑えるための節税アドバイスも期待しています。役員報酬の設計や設備投資のタイミング、中小企業向け税制の活用などは、税理士からの提案によって税負担が変わる可能性があります。売上や利益が同じでも、税務戦略によって支払う税額が変わるケースもあります。
一方、税務申告を中心とし、積極的な節税提案を行わない税理士もいます。「もっと税務面でサポートしてほしい」と感じる場合は、自社に合ったサポートを受けられているか見直してみましょう。
レスポンスが遅い
経営においては、スピード感のある意思決定が重要です。融資の相談や設備投資の判断、役員報酬の変更など、税務に関わる意思決定は迅速な対応が求められる場面が多くあります。しかし、質問への返信が数日後になる、電話がなかなかつながらないといった状況では、経営判断が遅れてしまう可能性があります。税理士の対応スピードは、結果的に会社の意思決定のスピードにも影響します。
もし現在の税理士のレスポンスが遅く、自社の経営スピードに合っていないと感じる場合は、サポート体制を見直すことも一つの選択肢と言えるでしょう。
顧問料が高い
税理士に対する不満としてよく挙げられるのが、顧問料に関する問題です。顧問料が毎年のように上がっているにもかかわらず、どのようなサービスが含まれているのか分かりにくい場合や、相談のたびに追加費用が発生する場合には、「この顧問料は本当に適正なのだろうか」という疑問から、税理士を変えたいと思う経営者も少なくありません。
顧問料は事務所によって大きく異なるため、複数の税理士と比較して初めて適正価格が分かることもあります。現在の顧問料が適切なのか不安な場合は、一度他の税理士事務所に相談してみることで相場感を把握し、税理士を変更するか判断材料にできます。
税理士と相性が合わない
税理士とは長期的に付き合うケースが多いため、コミュニケーションの取りやすさや相性も重要です。「話しづらい」「聞きづらい」と感じて相談を後回しにすると、経営判断が遅れる可能性があります。また、専門用語ばかりで説明が分かりにくいと、内容を十分に理解できないまま手続きが進んでしまうこともあります。
経営者にとって重要なのは、税務の専門知識だけでなく、自社の状況を分かりやすく説明してくれるかどうかです。コミュニケーションにストレスを感じている場合は、安心して相談できる税理士への変更を検討するのも一つの方法です。
自社の業種に詳しくない
税理士は税務の専門家ですが、すべての業界に精通しているわけではありません。しかし、経営パートナーとして税理士に相談する場合、自社の業界に対する理解は非常に重要です。なぜなら、業界ごとにビジネスモデルや利益構造が異なり、それに応じて税務対応や節税対策の考え方も変わるためです。
たとえば、同じ売上規模の企業であっても、飲食業・IT業界・建設業では経費の構造や利益率、資金繰りの特徴が大きく異なります。そのため、業界特有の資金繰りや税務のポイントを理解していない税理士の場合、適切なアドバイスを受けられない可能性があり、本来活用できたはずの節税制度や経営改善の機会を逃してしまうこともあります。
税理士を変えたいと考えている場合、どのような業界の顧問先を多く担当しているのか、同じ業種の企業をサポートした経験があるのかといった点も確認しておくと安心です。
経営アドバイスがもらえない
税理士に求める役割は、会社の成長とともに変化していきます。創業期であれば、確定申告や会計処理のサポートだけでも十分な場合があります。しかし、事業が成長してくると資金繰りや利益改善、事業計画など、経営に関する相談をしたい場面が増えてきます。
一方で、税理士事務所の中には、税務申告の作成や会計処理のサポートを中心に業務を行っているところもあります。その場合、経営に関するアドバイスや提案が十分に受けられないこともあります。
もし、「決算の数字の説明だけで終わってしまう」「経営についての具体的な提案がない」と感じている場合は、経営サポートに強い税理士へ変更することで、経営の意思決定がよりスムーズになるでしょう。
税理士を変えたいけど大丈夫?変更前に知っておきたい4つの不安

税理士を変えたいと思っても、「本当に変更して大丈夫なのか」と不安を感じる経営者は少なくありません。ここでは、税理士変更を検討している経営者からよく聞かれる代表的な不安について解説します。
税理士に変更を伝えたらトラブルにならない?
税理士を変えたいと伝えると、関係が悪くなるのではないかと心配する経営者も多いでしょう。しかし実際には、税理士の変更は業界でも珍しいことではなく、会社の成長や経営方針の変化によって税理士を見直すケースは一般的です。
税理士との顧問契約はあくまで業務委託契約の一つであり、契約内容に従って解約手続きを行えば問題になることはほとんどありません。
伝える際には、必要以上に理由を説明する必要はありません。「社内体制の見直しに伴い、税理士を変更することになりました。」といった形で簡潔に伝えることで、不要なトラブルを避けることができます。
税務調査に影響が出ないか心配
税理士を変更すると、税務署から不審に思われるのではないかと不安に感じる方もいますが、税理士の変更自体が税務調査の直接的な原因になることはほとんどありません。
税務調査は主に申告内容や業種ごとのリスク分析などをもとに選定されるため、税理士変更の有無だけで調査対象になるわけではないからです。
ただし、税理士変更のタイミングによっては注意が必要です。たとえば、決算直前や申告期限直前に税理士を変更すると、引き継ぎが不十分になり申告ミスが起きる可能性があります。税理士の変更は決算後や申告完了後など、業務の区切りのタイミングで行うのが望ましいでしょう。
新しい税理士が本当に合うか不安
税理士を変更する際は、「新しい税理士が自社に合うか」という不安もあるでしょう。税理士とは長期的な関係になることが多いため、慎重に選ぶことが大切です。
不安を減らすには、契約前の面談で自社の業界経験や経営アドバイスの有無、レスポンスの速さ、顧問料の料金体系などを確認しましょう。複数の税理士と面談して比較することで、自社に合った税理士を見つけやすくなります。
書類やデータをきちんと引き継げるか心配
税理士変更では、過去の会計データや申告書などを新しい税理士へ引き継ぐ必要があります。そのため、「書類をきちんと受け取れるのか」と不安に感じる経営者もいるでしょう。
基本的に、決算書や申告書、会計データなどは会社のものであり、税理士が保管している場合でも返却してもらえます。引き継ぐ資料には、決算書、法人税申告書、総勘定元帳、会計ソフトのデータなどがあります。これらを新しい税理士へ共有することで、業務をスムーズに引き継ぎやすくなります。
税理士変更で経営はどう変わる?知っておきたい3つのメリット

税理士の変更は、単なる顧問契約の見直しではなく、会社経営の質を高める重要な意思決定になる場合があります。節税の提案が少ない、経営アドバイスがない、経理業務が非効率、会計システムが古いなど、現在の税理士に不満を感じている経営者も少なくありません。
こうした課題がある場合、税理士を変更することで経営環境や業務効率が大きく改善する可能性があります。ここでは、税理士変更による主なメリットを解説します。
節税の提案が増える
会社の利益を最大化するうえで、適切な節税対策は欠かせない要素です。しかし、数多くある税制や特例をすべて経営者自身が把握するのは簡単ではありません。そこで重要になるのが、税務の専門家である税理士の提案力です。
税理士によって、節税に対するスタンスや得意分野は大きく異なります。中小企業向けの節税制度の活用や、設備投資・減価償却の最適化、役員報酬の設計、法人と個人の税務バランスなど、同じ会社でも税理士によって提案内容が変わることがあります。
もし現在の顧問税理士から積極的な節税提案がないと感じている場合は、経営支援に強い税理士へ変更することで、より効果的な節税が実現できる可能性があります。結果として、税負担の最適化と利益の最大化につながるでしょう。
経営アドバイスが受けられる
税理士には、税務申告を中心に行うタイプと、会社の数字をもとに経営アドバイスを行うパートナー型の税理士がいます。
利益や売上などの結果だけでなく、その背景にある原因や経営課題を分析し、改善策を提案してくれる税理士もいます。たとえば、利益率が下がった原因の分析や固定費・コスト構造の見直し、資金繰りの改善、事業拡大のタイミングなどについてアドバイスを受けられるケースがあります。
こうしたサポートを受けることで、税理士は単なる「税務担当」ではなく、経営を支えるパートナーとして大きな価値を発揮します。
クラウド会計に移行して経理業務を効率化できる
税理士を変更することで、最新の会計システムへ移行できるケースもあります。近年は、freeeやマネーフォワード クラウド会計などのクラウド会計ソフトを導入する企業が増えています。
クラウド会計を導入すると、経理業務の自動化・省力化や税理士とのデータ共有、ペーパーレス化が進むほか、会社の数字をリアルタイムで確認できるようになります。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、日々の取引が自動で反映され、最新の財務状況を把握できます。
これにより、日々の数字をもとに意思決定を行うリアルタイム経営へ移行することが可能です。クラウド会計に強い税理士へ変更することで、会計業務の効率化だけでなく、経営判断のスピードと精度の向上にもつながるでしょう。
税理士を変更するには?必要な手続きとスムーズに進める流れを解説

税理士の変更は、正しい手順で進めれば特別に難しい手続きではありません。ただし、会計データや税務資料の引き継ぎが発生するため、事前に流れを理解しておくことが大切です。ここでは、税理士を変更する際の一般的な手続きの流れを、5つのステップに分けて解説します。
【STEP1】契約内容を確認する
まずは、現在の税理士との顧問契約を確認しましょう。契約書には、解約の申し出期限や最低契約期間、解約時の費用などが定められている場合があります。
これらを確認せずに解約を進めると、追加費用が発生したり、トラブルになったりする可能性があります。スムーズに変更するためにも、契約条件を事前に把握しておきましょう。契約書が手元にない場合は、税理士事務所へ直接確認すると安心です。
【STEP2】新しい税理士を探す
契約内容を確認したら、新しい税理士を探します。料金だけで判断せず、自社の業界への強さや経営アドバイス・節税提案の有無、クラウド会計への対応、レスポンスやサポート体制などを確認しましょう。
オンライン面談や無料相談を実施している税理士事務所も増えています。複数の税理士と面談して比較することで、自社に合った税理士を見つけやすくなります。なお、新しい税理士が決まる前に現在の税理士を解約すると、税務対応が一時的に空白になる可能性があるため注意が必要です。
【STEP3】現在の税理士へ解約連絡をする
新しい税理士が決まったら、現在の税理士へ顧問契約の解約を連絡します。解約の連絡は、一般的に電話・メール・書面などで行います。
税理士の変更は珍しいことではないため、多くの場合トラブルになることはありません。連絡する際は、感情的にならず、これまでの感謝を伝えながら丁寧に伝えることで、円満に契約を終了しやすくなります。
【STEP4】書類やデータを引き継ぐ
契約終了に伴い、税理士事務所が保管している会計資料や税務書類を返却してもらいます。引き継ぐ資料には、会計ソフトのデータ、過去の決算書・申告書、総勘定元帳や仕訳帳、領収書や証憑書類などがあります。
これらは新しい税理士が業務を引き継ぐ際に必要な重要なデータです。会計ソフトのデータ形式や閲覧権限など、引き継ぎ方法を事前に確認しておくとスムーズに移行できます。
【STEP5】新しい税理士と契約する
最後に、新しい税理士と顧問契約を締結します。契約後は、引き継いだ会計資料や会社情報をもとに税務・会計業務が始まります。
必要に応じて、会計ソフトの設定やクラウド会計の導入、経理フローの見直しなどを行い、効率的な会計体制を構築していきます。契約前には、顧問料・サービス内容・対応範囲を明確に確認しておくことが重要です。
税理士変更でトラブルになるケースとは?よくある問題と回避方法を解説

税理士の変更は多くの企業で行われていますが、進め方によってはトラブルが発生するケースもあります。ここでは、実際の相談でも多い代表的なトラブル事例を紹介します。
書類を返してもらえない
税理士変更では、預けていた書類をすぐに返却してもらえないケースがあります。過去の決算書や申告書の控え、総勘定元帳、会計資料、会計ソフトのデータなどの引き渡しが遅れることがあります。
多くの場合、顧問契約が終了すれば書類は返却されますが、未払いの顧問料や連絡不足などが原因で対応が遅れるケースもあります。トラブルを防ぐには、解約前に資料の所在や会計データの形式、引き継ぎ方法などを確認しておくことが重要です。
解約条件でトラブルになる
税理士変更では、顧問契約の条件をめぐってトラブルになることがあります。たとえば、解約の2ヶ月前までの通知が必要だったり、違約金や年間契約の途中解約による追加費用が発生したりするケースです。
顧問契約は事務所によって条件が異なるため、確認せずに解約すると、思わぬ費用が発生する可能性があります。税理士を変更する際は、解約通知の期限や最低契約期間、解約時の費用などを事前に確認しておきましょう。
引き継ぎミスで申告に影響する
税理士変更では、会計データや税務情報の引き継ぎミスに注意が必要です。前期の会計データや消費税の処理方法、過去の税務処理の前提条件などが正確に共有されないと、決算や申告時の確認作業が増え、申告スケジュールに影響する可能性があります。
税理士変更を急ぐと、過去の処理内容が分からず決算作業に時間がかかるケースもあります。変更する際は、会計データや過去の申告書、税務処理の方針などを整理し、新しい税理士へ正確に引き継ぐことが重要です。
税理士を変えたい方は、アミエル税理士事務所にご相談ください
「今の税理士に不満があるけれど、変更しても大丈夫なのか」「自社に合う税理士が分からない」など、税理士の変更に関する悩みを抱えていませんか?税理士の変更は、単に顧問先を変えるだけではありません。節税対策や資金繰り、経営改善など、これからの会社経営を支えるパートナーを見直す機会でもあります。
アミエル税理士事務所では、会社の状況や経営者の考えを丁寧にお伺いしたうえで、税務・会計だけでなく、経営面も含めたサポートを行っています。現在の税理士との関係に不安を感じている方や、税理士変更を検討している方は、まずはお気軽にご相談ください。「税理士を変えたいけれど、何から始めればいいか分からない」という段階でもご相談いただけます。
監修:税理士 留目 津
