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「国外財産調書制度」が始まります。
- 2016.12.01
海外に5千万円超の資産を持つ個人に報告義務を課す制度が、来年の確定申告からいよいよ始まります。
「自分の海外資産も報告の対象になるのか」「どうやって資産の時価を計算すればよいのか」皆さん大変ご不安かと思います。
新たに始まる「国外財産調書制度」は毎年末の時価をベースに5千万円を超える海外資産を持つ場合、報告義務が生じ平成25年末分から始まりますが、対象となるのは海外にある株式、現預金といった金融資産、不動産、高額な美術品です。
年末時点の為替相場で、円に換算して資産額を確定しますが、同じ資産でも為替や海外の景気次第で5千万円を超えたり、超えなかったりするので注意が必要になると思います。
25年末分は26年1月1日から3月15日に資産の種類や金額を示した調書を税務署に提出しなければなりません。
今年度、平成25年末分の報告は経過措置として罰則規定の適用は見送られましたが、1年後の平成26年末分の報告から罰則規定が適用されます。
故意に調書を提出しない場合や虚偽の情報を記載した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されますので注意が必要です。
相続税の申告漏れの防止がねらいですが、日銀によると日本の家計資産のうち外貨建ての預金と有価証券の合計額は11年度末で14兆6650億円と5年間で約3割増えてます。
また、国税庁のまとめでは11事務年度(11年7月~12年6月)に把握した海外資産関連の相続税の申告漏れは111件で5年間で4割増えてます。
ただ、調書制度の導入で税務署が確実に海外資産を把握し、税逃れを防げるかは不透明です。
調書を提出しなかったり、虚偽の記載があったりしても、税務署が過去に蓄積した海外の資産を把握するのは困難です。
日本国内の銀行口座と海外口座との間で多額の資金のやりとりがあった場合には、金融機関が税務当局に報告する義務がこれまでもありましたが、すでに海外に持つ不動産で得た賃貸収入などを海外の口座にため込んでいる場合などは把握するのは困難と思われます。
また、罰則の適用は故意であると税務当局が証明できる場合に限られ、簡単には罪に問えないのではと思いますが、今後の動向に注意が必要ですね。